初級文法

Lesson 05|定冠詞の使い方

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青葉

イタリア語の名詞は、常に冠詞とともに使われるのが基本です。

特に定冠詞は、「その本」「その人」のように、話し手・聞き手の間ですでに知られている物や人を指すときに使われます。

このレッスンでは、定冠詞の形と使い分けをマスターし、さらに会話や文章で自然に使える応用力を身につけていきます。

定冠詞のルールと構成

イタリア語の定冠詞は、名詞の性(男性・女性)数(単数・複数)に応じて形が変化します

また、名詞の最初の音(子音か母音か、特定の子音群か)によっても定冠詞の形が決まります。

定冠詞一覧表:
性・数定冠詞主な使用条件
男性・単数il一般的な子音で始まる語il libro(その本)
男性・単数los+子音, z, ps, gn, x などで始まる語lo studente(その学生)
男性・単数l’母音で始まる語l’amico(その友人)
男性・複数iil に対応(一般的な子音)i libri(それらの本)
男性・複数glilo / l’ に対応(特殊音・母音)gli studenti(それらの学生)
女性・単数la子音で始まる語la ragazza(その少女)
女性・単数l’母音で始まる語l’amica(その女友達)
女性・複数lela / l’ の複数形le ragazze(それらの少女たち)

ポイント解説

例文と解説

Il libro è sul tavolo.|その本は机の上にある。

「libro」は男性・単数で、子音(l)ではじまるため il を使用。冠詞によって「特定の本」であることが示されています。

Lo zaino è pesante.|そのリュックは重い。

「zaino」は男性・単数で、zではじまる名詞のため lo を使う(zは特殊な子音)。è pesante で「重い」という状態を表します。

L’amico lavora a Roma.|その友人はローマで働いている。

「amico」は男性・単数・母音(a)ではじまる名詞。母音の連続を避けるため、il → l’ に省略される。ここでは定冠詞がつくことで「話題に出た友人」であることを示しています。

I libri sono interessanti.|それらの本はおもしろい。

「libri」は「libro」の複数形。il → i に変化。複数形でも冠詞を省略しないのがイタリア語の特徴です。「sono interessanti」は複数主語に対応する動詞+形容詞の一致。

La casa è molto grande.|その家はとても大きい。

「casa」は女性・単数・子音始まりの名詞。定冠詞は la を使用。形容詞「grande」は女性単数に一致します。冠詞があることで、漠然とした「家」ではなく「その家」と特定されます。

L’amica abita vicino.|女友達は近くに住んでいる。

「amica」は女性・単数・母音(a)始まり → la → l’ に省略。男性形「amico」と形が似ていますが、語尾 -a が女性であることを示します。冠詞で名詞の性も把握しやすいです。

Le ragazze studiano francese.|少女たちはフランス語を学んでいる。

「ragazze」は「ragazza」の複数形 → la → le に変化。女性複数形の定冠詞は常に le。

定冠詞の基本的な意味と使い方

定冠詞は話し手・聞き手のどちらにも認識されている名詞に使われます。

日本語の「その」「あの」に近い役割です。

  • Ho letto il libro di cui parlavi. →(君が話していた)その本を読んだ。
  • La macchina è nuova. →(すでに話題に出ている)その車は新しい。

また、「一般的な物全体」を指すときにも定冠詞が使われます。

  • Il vino rosso è più corposo. → 赤ワイン(という種類全体)はよりコクがある。
ポイント

不定冠詞(un, una など)を使い分けることで、話の中で「何を指しているか」を明確にする役割を果たします。

  • Ho letto il libro.(その本を読んだ)→ 特定の「本」
  • Ho letto un libro.(ある本を読んだ)→ 特定されていない「本」

lo / gli の使い分け(特殊子音に注意)

lo は、男性・単数名詞に使われる定冠詞で、語頭が特定の子音ではじまる場合に使います。

以下の音ではじまる男性単数名詞の前には、il ではなく lo を使います。

発音のパターン説明
s + 子音「s」のあとに別の子音が続くlo studente(学生)
z語頭が z の単語lo zaino(リュック)
gn[ɲ] の音(に近い発音)lo gnomo(ノーム)
ps語頭が ps で始まるlo psicologo(心理学者)
x語頭が x の音lo xilofono(木琴)

gli は lo または l’ に対応する複数形で、主に以下のケースで使います。

単数形複数形説明
lo studentegli studentis+子音で始まる語
lo psicologogli psicologipsで始まる語
l’amicogli amici母音始まりの語(l’ の複数)
lo gnomogli gnomign で始まる語
l’uomogli uomini「l’」の複数形で「uomo(男)」の複数形

まとめ

  • 定冠詞は「話し手・聞き手が共通認識している名詞」につける。
  • 名詞の性(男性・女性)と数(単数・複数)、そして語頭の音によって冠詞の形が変化する。
  • 特殊な子音(s+子音, z など)では lo / gli を使う。

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