初級

【イタリア語文法#4】不定冠詞

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森乃

イタリア語では、名詞の前に「冠詞」をつけるのが基本です。

特に、「ある〜」「1つの〜」という意味をもつ 不定冠詞 は、日常会話・文章において頻繁に使われます。

このレッスンでは、不定冠詞の各形の使い分けとその判断ポイント、使いこなすための実践的な方法などを解説します。

1. 不定冠詞の基本

1-1. 不定冠詞とは?

不定冠詞は、名詞の前に置き、話し手・聞き手の双方にとって特定されてないものを指す冠詞です。

単数名詞にのみ用いられ、複数形には不定冠詞は存在しません。

そして、名詞の性(男性・女性)と語頭の文字(母音/子音/特定の子音)に応じて形が変化するのが特徴です。

英語における a / an に近い機能を持ちますが、イタリア語特有の変化ルールがあるため、しっかりと理解することが重要です。

1-2. 不定冠詞の形

性別名詞の語頭不定冠詞の形使用例日本語訳
男性一般的な子音unun libro1冊の本
男性s+子音, z, ps, gn, xunouno studente / uno zainoある学生/リュック
女性子音unauna casa1軒の家
女性母音un’un’amicaある女友達
ポイント
  • uno は、s + 子音 や z, ps, gn, x で始まる語の前で使います。
  • un’ は女性名詞の前に置き、語頭が母音のときにだけ使います。アポストロフィ(’)を入れて、母音の衝突を避けるのが目的。

2. 冠詞は「名詞の性と数」に必ず一致

イタリア語では、名詞には性(男性/女性)と数(単数/複数)があり、冠詞もそれに合わせて変化します。

複数形では、不定の意味を表すときに部分冠詞(del, della など)形容詞の「alcuni(いくつかの)などを使います。

3. unoが使われる特殊なケース

uno は特定の子音群で始まる男性名詞の前で使われます。具体的には、以下の子音です。

  • s + 子音:studente(学生)、spettacolo(ショー)
  • z:zaino(リュック)、zio(おじ)
  • ps:psicologo(心理学者)、psiche(精神)
  • gn:gnomo(妖精)、gnocchi(ニョッキ)
  • x:xilofono(木琴)

これは、語の冒頭に強い子音が連続する場合、発音を補助するためにunoの語形が使われるという音声的な配慮に基づいています。

4. un’の使い方と音省略

女性名詞で語頭が母音(a, e, i, o, u)の場合、una の語尾 a が脱落して「un’」となるのが基本です。

これは母音の衝突を避けるための措置で、イタリア語独特のなめらかで美しい発音を保つための仕組みです。

  • × una amica → ◯ un’amica
  • × una idea → ◯ un’idea
注意点

un’ は女性名詞にしか使われません。男性名詞に un’ をつけることはありません。

5. まとめ

  • 不定冠詞は「ある〜」「ひとつの〜」を意味し、単数名詞の前につける。
  • 名詞の性(男性・女性)と語頭(母音・子音)によって形が変化する。
  • un:一般的な男性名詞に使う。
  • uno:s+子音、z、ps、gn、xなどで始まる男性名詞。
  • una:子音で始まる女性名詞。
  • un’:母音で始まる女性名詞。
  • 冠詞の省略・誤用に注意し、語と語の音のつながりを意識することが大切。
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